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ワイナリー巡りがもっと楽しくなる!Langton’s格付け入門

  • natsumimatsuda5
  • 6月18日
  • 読了時間: 4分

ワイナリーやワインショップで、「Langton's Classification(ラングトンズ・クラシフィケーション)」のポスターを目にしたことはありませんか?そこには、オーストラリアを代表するプレミアムワインのラベルがずらりと並んでいます。


Langton’s Classificationとは?


Langton's Classificationは、オーストラリアのワインオークションハウス Langton's が発表する格付けリストで、ワイン業界ではひとつの“指標”として広く知られています。1990年に初めて発表されて以降、数年ごとに更新されており、主観的な評価ではなく、オークション市場での実際の取引実績に基づいて選出されるのが大きな特徴です。


2023年に発表された第8版では、上位カテゴリーである "1st Classified" と "Classified" の2段階に整理され、合計100本のワインが掲載されました。市場の需要や価格の動向が反映されるため、フランス・ボルドーのような固定的な格付けとは異なり、現代的かつ流動性のある評価として注目を集めています。


長年トップランクに君臨する南オーストラリアの名門ワイナリー


1st Classifiedに選ばれた21本のうち、10本が南オーストラリア産。地域としての圧倒的な存在感がうかがえます。特に「Grange」(Penfolds)と「Hill of Grace」(Henschke)は、1990年の初回から一貫して最高位に選ばれている象徴的な存在です。

また、クナワラの「Wynns Coonawarra Estate(ウィンズ・クナワラ・エステイト)」も初回から継続して選出されており、その実力の安定感が際立ちます。クレア・ヴァレーのカルト的人気を誇る「Wendouree(ウェンドゥリー)」は、セラードアも公式サイトもなく試飲もできない、幻のような存在です。


冷涼産地ワインの台頭と南オーストラリアの多様性


近年では、エレガントで繊細なスタイルのワインに人気が集まり、タスマニアやヴィクトリア州などの冷涼気候地域の評価が高まっています。2023年の格付けにも、この傾向を反映して冷涼産地のワインが多く選ばれました。


一方で、フルボディで知られる南オーストラリアのワインはやや後退傾向とも言われますが、革新的なアプローチで新たに評価され、格付け入りを果たす生産者も登場しています。


Standish Wine Co.(スタンディッシュ) & Sami-Odi(サミ・オディ)


バロッサの伝統を打ち破る新世代として注目を集めているのが、スタンディッシュとサミ・オディ。スタンディッシュの「The Relic」「The Schubert Theorem」、サミ・オディの「Hoffmann Dallwitz Shiraz」「Little Wine」は、低抽出・低アルコール・全房発酵といった現代的な手法で“エレガントなバロッサ”を表現。いずれも生産量が少なく、入手困難なコレクターズアイテムです。


Tolpuddle(トルパドル)


タスマニアのTolpuddleは、アデレード・ヒルズでShaw + Smithを成功させたMichael Hill Smith MWとMartin Shawが手がけるワイナリー。冷涼な気候を活かしたシャルドネとピノ・ノワールが格付けされています。Hill Smith氏はオーストラリア初のマスター・オブ・ワイン*であり、イーデン・ヴァレーの名門Yalumba出身でもあります。


*ブドウ栽培から醸造、テイスティング、市場動向まで深い知識が求められる、世界でも数百人しか保有していない権威ある資格。


House of Arras(ハウス・オブ・アラス)


タスマニアからはついに、瓶内二次発酵(シャンパーニュ方式)によるスパークリングワイン「E.J. Carr Late Disgorged」(House of Arras)が格付け入りを果たしました。これまではRockfordのスパークリング・ブラック・シラーズのみがランクインしていましたが、今回初めて本格派シャンパーニュスタイルが認められたことで、このカテゴリー全体の評価が高まりました。


ワイン消費者としての格付けの活用方法


格付けワインは価格が高く、一般の消費者にとっては手が届きにくい存在かもしれません。しかし、アデレード周辺には、数十ドルの試飲料で格付けワインを試せるワイナリーが数多くあります。ワインに興味を持ち始めたら、ぜひ現地のワイナリーを訪れて、オーストラリア最高峰のワインに触れてみてください。


また、格付けワインを造るワイナリーが手がける“セカンドラベル”的なワインもおすすめです。同じブドウ品種・似た醸造法でありながら、価格は半分以下ということも珍しくありません。たとえば、Torbreckの「RunRig」は高価で手が出なくても、「Descendent」なら比較的手ごろな価格で、若いうちからその魅力を楽しめます。セカンドワインを通じて、造り手が目指すスタイルや哲学を感じ取るのも嬉しいです。


Langton’sのオークションを覗いてみよう


Langton’sでは毎週ワインオークションが開催されており、その出品本数はなんと1万本を超えます。オーストラリアのプレミアムワインはもちろん、世界各国の希少なワインもずらりと並び、価格帯も手頃なものから超高級品まで実に幅広く揃っています。


特に魅力的なのは、通常はなかなか市場に出回らないバックビンテージや海外のレアワインが数多く出品されている点です。しかも入札制というオークション形式が、“掘り出し物を見つけたい!”というワイン好きの心に火をつけ、思わず熱くなってしまいがち。気づけば高額入札していた…なんてこともしばしばです。


筆者の周囲にも、Langton’sのオークションサイトを常にチェックしている“中毒者”が少なからず存在します。もはや人生の一部、いや浪費の一部になっているかもしれません。

楽しみながらも、くれぐれもハマりすぎにはご注意を。ワイン愛はほどほどに——。

 
 
 

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